製品用としての革素材は手触り、柔らかさ具合、エイジング、発色、透明感、肌理、艶、しっとり感など「最良の選択」は十人十色です。
ルシアーレザーではオーダーメイド工房としてお客様ごとのさまざまな好みにお応えできるよう世界中から良質な革素材を多種多様に取り揃えており、主素材である牛革は20種以上、このほか馬革、コードバン、ラム革からヘビ革、エイ革、ワニ革などのエキゾチックレザーに至るまで非常に多種の素材を在庫しております。
これらすべては当工房のアドバイスを元にお選びいただけ、
素材の持つ特徴を最大限活かし、さまざまな技術を駆使して使いよい製品を作り上げています。




   
革は天然素材であるため全面が均質ではなく、表面には傷や皺、汚れなどがあり、まずこれらの部位を避けます。次は表皮下の繊維層に注目、食肉ではロースやモモなど部位によって価格も質も異なりますが、革もこれに同じく部位によって繊維の密度や特性が異なり、これが製品の強度や耐久性に大きく影響します。 例えばベンズと呼ばれる背中から尻部分は繊維がよく締まっており、芯材を用いない革だけで強度を確保する製品用途に適していますが、ベリーと呼ばれる腹部分は繊維密度が緩く、この部位を含んだ製品は裂けや変形など耐久性が大きく劣ります。新品時に外観だけで使用部位を判断することは困難で、量産品ではこういった部位選別が実施されていない製品も多くありますが、ルシアーレザーのオーダー製品やセルフプロデュース製品ではこれらの部位特性を考慮して製品を製作していますので末永く安心してお使いいただけます。
   

型紙を革に置いて裁断場所を決定する「型入れ」と呼ばれる工程では染みや皺、傷を避けるほか、革繊維の流れる方向性を検討します。 革の繊維層は伸び(曲げ)やすい、伸び(曲げ)にくいなどの方向性を持っており、製品表面からこれを確認することはできませんが、繊維の流れを考慮せず裁断した場合、特に厚革で構成される製品では使用が進む過程でねじれや変形などの型崩れが発生することがあります。
ルシアーレザーのオーダー製品やセルフプロデュース製品では型崩れが発生しないようパーツ1点ごとに繊維の伸び方向を検討して裁断部位や向きを決定しています。





   

裁断したヌメ革の木端(断面)は、革の裏面同様に繊維層が露出しており、床面と同様に毛羽立ちを抑える処理をする必要があります。 ルシアーレザーではこの部分をカンナで整形し、ヤスリでほぼツルツルになるまで仕上げたのち、「切目本磨き」仕上げという手法を用い、天然フノリを塗布し手磨きにて磨き上げることで露出した繊維層の毛羽立ちを抑え、磨くことで出る艶は膜を張ったような美しい仕上がりとなります。このほか色革を使った製品ではヤスリ仕上げの後にイタリア製のコート剤を塗布する製品もあり、各製品の用途・仕様に適した手法を使い分けています。
※画像上段は切目本磨き仕上げ、下段はコート剤塗布仕上げです。
   

厚革を太い糸で縫う場合には手縫い仕立てをお勧めしていますが、手縫いの場合は縫製前にいくつかの準備工程が必要になります。
まず、縫製ライン上にあらかじめ溝を彫ることで糸を溝に埋め、擦れによる糸切れを予防しています。
次にこの溝に針穴を先にあけます。 厚いヌメ革はたいへん堅く、製品によっては革を重ねて1cm近い厚さ縫うこともあるため縫製前には先端が菱形の錐を使ってすべての針穴を一目ずつ先にあけておきます。この工程では糸太さに合わせた穴の大きさ、必要強度に応じた糸目ピッチも調整します。
ミシン製品にはないこの工程は非常に手間といえますが、菱形の穴形状により縫い上がった時の糸目が非常に美しく、厚いヌメ革製品を頑丈に仕立てることができます。
   

ルシアーレザーでは製品用途や革種類に応じて手縫い縫製とミシン縫製を使い分けています。
ミシン縫製は縫いピッチを非常に細かくできますので時計バンド等の小さな製品には適しており、針で直接革に穴をあけながら縫製しますので鹿革などの柔らかい素材や極薄革でも裂ける心配がなく、こういった素材をお選び頂いた場合はミシン縫製をお勧めしています。
一方厚手のヌメ革で仕立てる場合は手縫いをお勧めしています。
厚くて堅い素材の縫製では「サドルステッチ法」と呼ばれる手縫いで仕立て、革の両面から二本の針で交差を描くように縫い進めます。
この手法で縫製すると厚革が屈曲するような部位でも頑丈に仕立てることができるほか、万一の糸切れの際にもスルスルと糸抜けすることがないという利点も持っています。


   


ルシアーレザー製品は例え小さなキーホルダーであっても上記の工程を何一つ省くことなく丁寧に制作しています。
量産・短納期とは縁遠い手法を採用している故、結果としてお客様にはお届けまでお待ちいただくこととなる上、工程の多さから生産性やコストが犠牲になってしまいますが、所有満足感や永くお使いいただいた際の品質の維持、耐久性を念頭に置いたとき、この旧来の製法が最良の選択と考えております。
手縫い財布を1本仕立てるのに要する時間はおよそ2日、その間ずっと目の前の革に集中し、すべての工程において流れ作業なく真剣に取り組んでいます。
あくまでも感覚的なことですが、手裁断や手縫いというアナログな製法を経て出来上がったというプロセスがお客様にとって末永く、愛着を持って大切にお使いいただける要素となるのでは、と考えています。
ぜひ一度ルシアーレザーの製品を手にとって、工業製品との「温度差」を感じてみて下さい。