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革は天然素材であるため全面が均質ではなく、表面には傷や皺、汚れなどがあり、まずこれらの部位は避けます。しかしこれだけでは良い革とはいえず、次は皮下組織に注目します。 食肉では部位によりロース、モモなど価格も質も異なりますが、革もこれに同じく部位によって皮下組織の繊維(コラーゲン)層の密度が異なり、これが製品の強度や耐久性に大きく影響します。 牛の背中から尻にかけては繊維がよく締まっており製品用途として適していますが、腹部分は繊維密度が緩くこの部位を含んだ製品は裂け、変形など耐久性が大きく劣ります。新品時に外見だけで使用部位を判断することは困難で、これら不良部位をすべて避けると素材革全体のおよそ半分は「使えない」ことになり、量産品ではこういった部位選別が実施されていないものも多くありますが、ルシアーレザーではこれらの部位を避けて製品を製作していますので末永く安心してお使いいただけます。 |
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 量産品ではプレス機による金型打ち抜きが一般的ですが、ルシアーレザーではオーダーメイド1点物のご注文が多い事や、裁断面の角度調整に融通が利くことなどから、すべての部品型は革包丁やデザインナイフでの手裁断によって切り出されています。
また、型紙を革に置いて裁断場所を決定する「型入れ」と呼ばれる工程では染みや皺、傷を避けるほか、革繊維の方向性を検討します。 革の繊維層は伸び(曲げ)やすい、伸び(曲げ)にくいなどの方向性を持っており、製品表面からこれを確認することはできませんが、繊維の流れを無視して裁断した場合、特に財布など曲げを必要とする製品では使用が進む過程でねじれが発生することがあります。
ルシアーレザー製品は型崩れ、ねじれが発生しないよう繊維の伸び方向を検討して裁断部位を決定します。
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裁断が終わったら各パーツに調整加工を施します。
製品の一部には革の裏面が露出する部分があり、裏面は繊維層であるためそのままにしておくとこれがほぐれてパサパサとなってしまいますので、これを防ぐため「布海苔」溶液を塗布して磨くことで毛羽立ちを抑えます(画像参照)。
次に裁断した断面はカドが立っており、このまま使用するとこのカドがボロボロになってしまうため、カド部分を面取り加工します。
このほか厚い革を複数枚縫い重ねる部位では、仕上がりの断面が厚くなりすぎて不格好になってしまいますので、縫製前にこの部分だけをを薄く加工しておくことで本体の必要強度(厚さ)に影響なく製品の木端(断面)をスマートに仕立てることができます。 |
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露出した糸は摩擦が繰り返されるといつか切れてしまいます。これを防止するため縫製ライン上にあらかじめ溝を彫ることで糸が溝に埋まり、擦れによる糸切れを予防します。革強度に影響が出るような薄い革では彫ってしまうと革強度が不足するため、彫ることはせず筋入れを施すことで同様の効果を得ます。
次にこの溝に針穴を先にあけます。 牛ヌメ革は堅く、製品によっては5mm以上の革を重ねて縫うこともあるため、布帛のように直接針で穴を開けながらの縫製はできず、縫製前に菱錐と呼ばれる先端が菱形の錐を使ってすべての針穴を一目ずつ先にあけておきます。この工程では糸に合わせた穴の大きさ、必要強度に応じた糸目ピッチも調整します。
ミシン製品にはないこの工程は非常に手間といえますが、菱形の穴形状により縫い上がった時の糸目が非常に美しく仕上がります。 |
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ルシアーレザーでは鹿革製品などミシン縫製の方が適した素材ではミシン縫製を取り入れていますが、牛ヌメ革製品はすべて手縫いによる仕立てです。 ヌメ革の縫製は一般的な布帛やクロム革のように扱い易いものではなく、部位による必要強度の違いを糸の太さや縫い目のピッチで最適に調整し、均質ではない革に対して一針ずつテンション調整しながら縫い進めることが理想で、これを確実に行うには五感を駆使できる手縫いが最も確実に品質を保てる手法であると考え、ルシアーレザーの牛ヌメ革製品はすべて手縫いにて製作しています。
また手縫い独自の「サドルステッチ法」と呼ばれる縫い方はミシンによる掬い縫いとは違い、革の両面から二本の針でクロスを描くように交互に縫い進めるため、万一の糸切れの際にもすぐに糸がほつれることがないという利点も持っています。
いずれにせよ修理は必要ですが、そのまま使用を続けても当面の使用に耐え得るほど頑丈に縫うことができ、厚革を強いテンションで縫うヌメ革製品の場合、このメリットは重要なものとなります。 |
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裁断した革の木端(断面)は、革の裏面同様に繊維層が露出しており、床面と同様に毛羽立ちを抑える処理をする必要があります。 ルシアーレザーではこの部分をカンナで整形し、ヤスリでほぼツルツルになるまで仕上げたのち、「切目本磨き」仕上げという手法を用い、天然フノリを塗布し手磨きにて磨き上げることで露出した繊維層の毛羽立ちを抑え、磨くことで出る艶は膜を張ったような美しい仕上がりとなります。このほか色革を使った製品ではヤスリ仕上げの後にイタリア製のコート剤を塗布する製品もあり、各製品用途・仕様に適した手法を使い分けています。
※画像上段は切目本磨き仕上げ、下段はコート剤塗布仕上げです。
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ルシアーレザー製品は例え小さなキーホルダーであっても上記の工程を何一つ省くことなく丁寧に制作しており、今後もずっとこの製法を守ってゆきます。
量産・短納期とは縁遠い手法を採用している故、結果としてお客様にはお届けまでお待ちいただくこととなる上、工程の多さから生産性やコストが犠牲になってしまいますが、所有満足感や永くお使いいただいた際の品質の維持、耐久性を念頭に置いたとき、この手縫いという旧来の手法が最良の選択と考えております。
財布を1本仕立てるのに要する時間はおよそ2日、その間ずっと一枚の革に集中し続け、流れ作業ではなく真剣に取り組んでいるからこそ、これまでお作りしたオーダー製品すべてを写真一枚で思い出すことができますし、修理で戻って来た時には嬉しく、懐かしさすら感じます。
あくまでも感覚の問題ですが、手裁断や総手縫いというアナログな過程を経て出来上がった製品こそがお客様にとって末永く、愛着を持って大切にお使いいただける要素となるのでは、と考えています。
ぜひ一度ルシアーレザーの製品を手にとって、工業製品との「温度差」を感じてみて下さい。 |
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